子どもの嘔吐・下痢・血便
子どもが嘔吐や下痢を経験することは、多くの場合、ウイルスや細菌の感染などの体の自然な反応として起こります。これらの症状は、体が感染源や有害な物質を排除しようとしている証拠とも言えます。ただし、必ずしも「お腹」だけが問題の原因であるわけではありません。食物アレルギーや他の内科的疾患が関与していることも考えられます。したがって、持続的な症状や異常な症状が現れた場合には、速やかに専門家の意見を求めることが大切です。
また、血便も注意が必要です。多くの場合、一時的な「お腹の風邪」などが原因ですが、「腸重積」という深刻な状態も考えられます。この「腸重積」は、特に乳児や小さな子どもに発生することがあり、重大な合併症を引き起こす可能性があります。そのため、血便の発見、特に激しい痛みや高熱を伴う場合は、迅速な医療対応が不可欠です。
当クリニックでは、これらの症状や疑問について、適切なアドバイスと治療を提供しています。お子さんの健康や発育に関する疑問や心配事があれば、いつでもご相談ください。
子どもの便秘
子どもの便秘は意外と一般的な問題で、約10%の子どもが何らかの時点で便秘を経験します。便秘と一言で言っても、便の回数が少ないだけではなく、排便時の辛さや、お腹の張りなども含まれます。
例えば、毎日便を出していた子どもが突然3日に一度しか出さなくなるなど、急に便の状態が変わった場合は便秘のサインかもしれません。また、お子さまが便をする際に足を交差させてお尻を締めるような姿勢をすることも、便秘を感じている兆候です。
便秘が続くと、便が硬くなり排便がさらに困難になる悪循環になることがあります。食生活の見直しや水分補給などの生活習慣の改善も効果的ですが、症状が続く場合には、専門的な診察が必要となることも。
当クリニックでは、お子さまの腸内の状態をエコー検査で確認し、個別のケアとサポートを提供しています。お子さまの便秘に気付いたら、どうぞお早めにご相談ください。一緒にお子さまの健康な成長をサポートしましょう。
過敏性腸症候群
お子さんが朝起きたらすぐにお腹が痛くてトイレに長い時間いること、または学校でお腹が痛くて何度もトイレに行くといったことが何ヵ月も続くとしたら、それは「過敏性腸症候群」かもしれません。
この「過敏性腸症候群」は、お子さんのお腹が少し敏感になって、ちょっとした変化で反応を示す病気です。その結果、お腹が痛む、トイレに行く回数が増える、または減る(つまり、下痢や便秘になる)といった問題が起きます。小学生の1~2%、中学生の2~5%、高校生の5~9%のお子さんがこの問題を抱えています。特に中高生や受験生に多く、ストレスと関連しているとも考えられています。
この症状は、「朝になるとお腹が痛くなるけど、午後になると落ち着く子」、「便意がなくなってしまったり、便意があるのにうまく出ない子」、「朝に下痢やお腹が不快な子」、「お腹が張って鳴る、またはおならが多い子」など、さまざまなパターンがあります。
この病気の対処法としては、生活を規則正しくし、排便の習慣を整え、お腹を暖かく保つことが大切です。さらに、各タイプによって、食事で気をつけることも変わります。例えば、お腹が痛くなるタイプや下痢になるタイプのお子さんは、冷たい飲み物やカフェイン、高脂肪食を避けるといいでしょう。便秘になるタイプのお子さんは、水分と食物繊維をたくさん取ることが大切です。お腹が張って鳴る、おならが多いタイプのお子さんは、たまねぎや芋、炭酸飲料など、ガスを作りやすい食べ物を避けると良いでしょう。さらに、抗コリン薬、腸の機能を調節する薬、整腸剤、漢方薬などを用いることもあります。便秘に対しては下剤、下痢に対しては止瀉薬が使用されることもあります。
腸重積
腸重積とは、腸が腸の中に入り込んで、重なり合った状態になる病気です。これが起こると、重なった部分の腸が締め付けられ、時間が経つとその部分の腸がダメージを受けてしまいます。主な症状は、腹痛、嘔吐、そしてイチゴジャムのような色をした血便(粘血便)です。お子さんが「泣いてはすぐに疲れてぐったり」という状態を繰り返すときは、要注意です。最初のうちは血便が出ないこともあります。
特殊は方法で重なってしまった腸を元の位置に戻す治療を行います。しかし、発症してから時間がたってしまうと腸がもうダメになってしまったこともあり、その場合は手術が必要になることもあります。
腸重積は早期に発見して治療することが大切です。もしイチゴジャムのような血便が出たら、夜中でも休日でもすぐに病院に行くようにしましょう。
乳糖不耐症
乳糖不耐症とは、乳糖という成分を体がうまく消化できない状態のことを指します。乳糖は、母乳やミルク、牛乳などに含まれています。乳糖を消化するためには特殊な酵素が必要となるのですが、何らかの理由でその酵素の分泌がうまくいかないと、乳糖がきちんと消化されずに腸内で発酵し、下痢や酸っぱい臭いの便が出ることがあります。
乳糖不耐症には、生まれつき乳糖を消化する酵素を作れない「先天性乳糖不耐症」と、一時的にその酵素の分泌が低下する「二次性乳糖不耐症」があります。小児の場合、特に胃腸炎の後などに二次性乳糖不耐症が見られることが多いです。
胃腸炎から2週間くらいは、通常の下痢治療を行うことが一般的です。しかし、その後も下痢が続き、さらに乳製品を摂取すると下痢が出るようであれば、二次性乳糖不耐症の可能性があります。
乳糖不耐症の治療としては、乳糖を分解して消化を助ける薬が用いられます。また、乳糖を含まないミルク(例:森永ノンラクト、ボンラクトなど)に変更し、様子を見ることもあります。離乳食を始めている場合は、乳製品を少し控えていただくことになるかもしれません。基本的には、乳糖が含まれる食品、特に牛乳を控えることが一番です。
臍ヘルニア(でべそ)
臍ヘルニア(でべそ)とは、赤ちゃんのおへその部分がぽっこりと膨らんでしまう状態を指します。新生児10人中1人程度にみられます。
赤ちゃんはお母さんのお腹の中でへその緒を通じて栄養を受け取ります。生まれた後、へその緒は自然と取れて、へその通り道は自然に閉じます。しかし、赤ちゃんの腹筋がまだ発達していないため、この臍輪が完全に閉じきらないことがあります。その結果、腸の一部がおへその部分からぽっこりと出てしまうことがあり、これが臍ヘルニアの状態を作り出します。
臍ヘルニアはそのままでも1年で80%が、2年で90%が自然に治ります。しかし、大きく膨らんだおへその場合、自然に閉じた後でも皮膚のたるみが残ることがあります。このため、自然に閉じる可能性を高め、皮膚のたるみを減らすために、早期からの圧迫療法が推奨されることがあります。これは、医師の指示に従って、おへその膨らみをテープなどを用いて優しく押さえる治療法です。
肛門周囲膿瘍
赤ちゃんのお尻の近くに赤いおできができることがあります。それが「肛門周囲膿瘍」というものです。おできは時には黄色い膿を出すこともあります。また、触れると痛がります。
たいていの場合、この肛門周囲膿瘍は、特別な治療をしなくても、時間が経つと自然に良くなることが多いです。ただ、中にはなかなか良くなったり、また悪くなったりと、一筋縄ではいかない場合もあります。
お尻周りを清潔に保つことが、肛門周囲膿瘍を予防・治療するためにとても大切です。また、漢方薬がこの症状の治療に有効とされています。ただし、お尻がとても赤く腫れて、皮下に膿がたまっているのがはっきりとわかる場合は、切開して膿を取り出すことが必要になることもあります。
肛門のスキンタグ
赤ちゃんのお尻の周りに小さな皮膚のふくらみができることがありますよね。これを「スキンタグ」、または「見張りいぼ」と呼んでいます。これは、便秘などで硬いウンチが出るときに、皮膚がちょっと切れてしまう(これを切れ痔と言います)ことが原因です。その部分が何度も腫れると、まるでニワトリのとさかのように皮膚が盛り上がってしまいます。
このスキンタグは、赤ちゃんが仰向けになっている時(つまり背中が下になっている時)に、お腹の方向(12時の方向)にできやすいです。便秘で硬いウンチが出たことがあるお子さんに特に見られます。
時間は少し掛かりますが、スキンタグはゆっくりと小さくなっていくものです。軟膏を塗ることもあります。それから、スキンタグができる原因の一つである便秘がある場合は、その便秘を改善することが大切です。