- 発熱
- 咳
- 鼻水
- のどの痛み
- 嘔吐
- 下痢
- 血便
- 腹痛
- 子どもの頭痛
- 熱性けいれん
- 突発性発疹
- アデノウイルス感染症
- RSウイルス感染症
- ヒトメタニューモウイルス
- 溶連菌感染症
- インフルエンザ
- マイコプラズマ
- クループ症候群
- 手足口病
- ヘルパンギーナ
- はしか(麻疹)
- 風疹(3日はしか)
- おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
- 反復性耳下腺炎
- 百日咳
- 水ぼうそう
- 伝染性紅斑(リンゴ病)
- 伝染性単核球症(EBウイルス感染症)
- ヘルペス性歯肉口内炎
- 周期性嘔吐症・自家中毒
- 低身長
- 夜尿症(おねしょ)
- 起立性調節障害
- 貧血
- 夜驚症
- チック
- 吃音
- 指しゃぶり
- 成長痛
- 肘内障
- 漏斗胸
- X脚・O脚
- 発育性股関節形成不全
- 熱中症
発熱
どうして熱が出るの?
発熱は、実は体がウイルスや細菌と戦うための自然な反応なんです。体温が上がることで、ウイルスや細菌の活動が弱まり、感染が広がらないようにしています。だから、お子様の発熱は心配になるかもしれませんが、それは体が病気と戦っている証なのです。
発熱って何度以上のこと?
体温が37.5℃以上になると、通常は「発熱」と言われます。お子様の体温やどんな症状が出ているかを詳しく記録しておくと、医師との話がスムーズに進むかもしれません。
体温は1日の中で上下します。
特に、朝は低めで、夕方には少し上がることがよくあります。
運動後やご飯を食べた後も体温は少し上がります。
また、赤ちゃんの場合、室温が高いと体温も高く見えることがあります。
もし元気はあるのに体温が高いと感じたら、一度お子様を薄着にして、しばらく時間をおいてから再度体温を測ってみてください。
解熱剤の使い方は?
お子様が高熱を出すと心配ですね。38.5度以上の熱があり、お子様が苦しそうだと感じたら、解熱剤を使ってみてください。
ただ、もし元気にしていたり、深く眠っていたら、わざわざ起こして解熱剤を使う必要はありません。
解熱剤は一時的に熱を下げて辛さを軽減するもので、病気そのものを治すものではありません。
お子様がつらそうなときに使うのが大切です。解熱剤を使った後は、次に使うまでに6〜8時間は間をあけてください。
解熱剤は、飲み薬と座薬があります。どちらも効果は同じなので、お子様が飲み薬を飲むのが難しければ座薬を、座薬が苦手なら飲み薬を使ってみてください。
ただし、飲み薬と座薬を同時に使うことは避けてください。
発熱時の受診の目安は?
赤ちゃんやお子さんが熱を出した時、どうすればよいのか心配になることもあるでしょう。そのため、以下に何を見て、何をすべきかについて詳しく説明します。
- お子さんが37.5〜38℃の微熱を示し、それでも元気に遊んでいたりする場合は、すぐに病院へ行く必要はありません。
ただし、夜間に熱が出た場合は、次の日には病院に行くようにしましょう。 - 生後3ヶ月未満の赤ちゃんが熱を出した場合、すぐに病院に連絡しましょう。
新生児期の赤ちゃんは、大きな病気の兆候が少ないため、すぐに医師の助けが必要です。 - 赤ちゃんがぐったりしている、顔色が悪い、または呼吸が速いなど、何か「いつもと違う」様子が見られたら、すぐに医療機関に連絡しましょう。
親として、あなたが自分の赤ちゃんを一番よく知っています。
だからこそ、何か違和感を感じたら、すぐに医師に相談することが大切です。
あなたの直感と行動が、赤ちゃんの健康を守る大きな力となります。
咳
咳ってどうして出るの?
咳は、さまざまな原因によって起こります。一つは、気道に入ったホコリや異物を排除する反応です。
また、ウイルスや細菌による感染により気道が炎症を起こすと、痰を排出するために咳が生じます。
さらに、アレルギー反応も咳を引き起こすことがあります。
咳は体の防御メカニズムの一部で、異物や炎症により生じた痰などを体外に出す役割があります。
ですから、無理に咳を止めてしまうと、細菌やウイルスなどの病原体が体内にとどまりやすくなります。咳は体が自然に行う反応で、病原体を排除するのに重要な役割を果たしています。
しかし、咳が長く続くと、子供の体力を消耗したり食欲が減ったりすることがあります。そのため、咳が続くときはその原因を調べ、適切な対処をすることが大切です。
咳を止めるべきかどうかは、症状や子供の状態によります。
咳が続いている場合や、子供の体調に不安がある場合は、医師に相談することをおすすめします。
咳はどれくらい続くの?
風邪で引き起こされる咳は、大抵の場合、10日以内には半分の人が良くなり、約4週間(25日)で9割の人が治ります。
ですが、個々のその症状により、これは変わることがあります。
咳が2週間以上続くときは、別の病気のサインかもしれません。
例えば、気管支炎、喘息、肺炎、胃酸逆流症などがあります。
これらはしばしば風邪の他の症状とは違った症状を伴います。そのため、風邪と診断されても、咳が2週間以上続く場合は、医師に再度相談することが大切です。
また、保育園などで一緒に過ごす子どもたちは、うつる病気に繰り返し感染することがよくあります。これにより、咳や鼻水が出続けることがあります。
風邪を引き起こすウイルスは多種多様で、子どもたちはそれらに感染することで自然に体の抵抗力をつけていきます。
このため、一つ一つの感染が短い期間で次々と起こることもあります。
医師にはこのような状況を詳しく伝えることが重要です。
鼻水
鼻水ってどうして出るの?
ウイルスや細菌は、鼻に侵入した後、鼻の奥で増殖して感染を引き起こします。これに対抗して、鼻水は体の防御反応として機能します。鼻水は鼻の中を洗浄し、微生物や異物を排除する役割を果たします。
また、アレルギーを引き起こす物質が鼻に侵入した場合も、鼻水はそれを洗い流し、アレルギー反応を軽減します。
かつては、風邪の鼻水を止めるために抗アレルギー薬が使用されていましたが、風邪の鼻水は大半がウイルス感染によるものであり、アレルギーによるものではないため、抗アレルギー薬の効果は限定的です。
そのため、現在では風邪の鼻水に対しては抗アレルギー薬はあまり使われないようになりました。風邪の症状を和らげるためには、休養や十分な水分補給などが推奨されます。
鼻水の色が変わってきたけど抗生剤はいらないの?
鼻水の色が変わるのは風邪や感染症のよく見られる症状で、だけど、それだけで抗生物質が必要とは限りません。
抗生物質は細菌に対して効果的ですが、風邪やウイルス感染症には効果がありません。
風邪の大部分はウイルスが原因なので、抗生物質を使うのは適切な治療とは言えません。
また、鼻水の色が変わったからといって、それが必ずしも細菌感染を意味するわけではないのです。
鼻水の色だけで病気を判断するのは難しく、医師の診断が必要となります。
のどの痛み
「のどの痛み」は子供たちによく見られる症状で、その名の通り、のどが痛く、不快な感じがします。
これは主にウイルスや細菌の感染が原因です。
アデノウイルスや溶連菌といった微生物が、のどの粘膜に感染すると炎症を起こし、のどの痛みが発生します。
のどの痛みは、他の症状と一緒に現れることもあります。たとえば、発熱、咳、鼻づまりなどの風邪の典型的な症状が一緒に出ることもあります。
ウイルスや細菌が原因かどうかを調べるために、医師はアデノウイルスや溶連菌の迅速検査を行うことがあります。
この検査は、周囲の流行や診察の結果に基づいて行われ、正確な診断を出すために役立ちます。
嘔吐
嘔吐とは?
嘔吐は、胃や腸の中の物質を強制的に吐き出す反応です。子どもの嘔吐の最も一般的な原因は、ウイルス性胃腸炎です。
この場合、感染したウイルスが胃や腸を刺激し、嘔吐を引き起こします。
しかし、嘔吐の原因は「お腹」に限らず、他の要素も関与する場合があります。
そのため、緊急の処置が必要な嘔吐もあります。
年齢によっても嘔吐の原因は異なることに注意が必要です。
大切なのは、嘔吐が起きた場合には子どもの状態をよく観察し、症状や他の病気の有無に注意を払うことです。
赤ちゃんの嘔吐・・・どんな病気?
赤ちゃんの体はまだ成長途中で、特に消化機能は完全には発達していません。
そのため、母乳やミルクを飲んだ後に、ちょっとした吐き戻しを見ることがあります。
これは「溢乳(いつにゅう)」と呼ばれ、哺乳中や哺乳後に少しミルクがこぼれ出る現象で、赤ちゃんにとっては自然なことです。
ただし、赤ちゃんが泣き続けたり、血便や吐き気がある場合、それは「腸重積症」という深刻な状態の兆候かもしれません。
これらの症状が見られた場合、すぐに医師に相談してください。
また、この時期の赤ちゃんは、喘息性気管支炎、百日咳、細気管支炎などによって咳を起こすことがあり、それが吐き気を引き起こすこともあります。だから、赤ちゃんが吐くときは、それが「お腹」の問題から来ているのか、それとも他の原因があるのかをよく観察することが大切です。
ただし、もし赤ちゃんが大量に吐いたり、頻繁に吐き続けたり、元気がなくなったり、体重が急に減ったりするような場合は、それは何か問題があるサインかもしれません。そのような場合は、すぐに医師に相談してください。
幼稚園・小学生の嘔吐・・・どんな病気?
子供が幼稚園や学校などの集団生活を始めると、ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルス性胃腸炎に感染することが増えます。これが子供の吐き気の主な原因となります。
でも、吐き気は他の病気のせいになることもあります。
たとえば、虫垂炎や尿路感染症でも、子供は吐くことがあります。
学童期になると、「周期性嘔吐症候群」という病気がよく見られます。これは、突然、何度も吐き気が繰り返される病気です。
そして思春期になると、立ちくらみを伴う「起立性調節性障害」や「自律神経調節性障害」、腹痛や を引き起こす「過敏性腸症候群」などが原因で、子供が吐くこともあります。
経口補水液って何?
子供が下痢や吐き気が続くとき、体から水分がどんどん失われてしまうので、経口補水液(例えば、OS-1やアクアライトなど)が大変役立ちます。
吐き気がない場合、始めのうちは、少し舐める程度(約1小さじ分、5ml以下)の水分を、5~10分ごとに少しずつあげてみてください。
吐き気が収まってきたら、一回であげる水分量を10ml、20mlと少しずつ増やしていきましょう。
下痢だけの場合、十分な水分補給がとても重要です。体からどんどん水分が失われるので、これをきちんと補充してあげましょう。
症状が続いたり、脱水の兆候が見られたら、すぐに医者の診察を受けてください。
脱水は危険な状態なので、水分補給は早めに、そしてこまめに行うことが大切です。
下痢
下痢とは?
「下痢」とは、うんちが普段よりも柔らかく(軟便)または水っぽく(水様便)なり、うんちの回数や量が増える状態のことを言います。
子どもが頻繁に下痢をしていると、体の水分が失われてしまい、脱水状態になることもあります。
子どもの下痢の主な原因は、ノロウイルスやロタウイルス、アデノウィルスなどのウイルスによる胃腸炎です。中でもロタウイルスによる胃腸炎は特に重症になりやすいですが、ロタウイルスワクチンのおかげで、重症になる子どもの数は大幅に減っています。
赤ちゃんの下痢・・・どんな病気?
生まれて間もない赤ちゃんのうんちは、全部が下痢のように見えますが、これは病気ではありません。
生まれてから少し時間が経った乳児も同じで、1日にうんちをたくさんすることがあります。でも、うんちの量がいつもと変わらず、おっぱいやミルクを飲む力も変わっていなければ、心配はいりません。
乳児の下痢・・・どんな病気?
下痢の主な原因はウイルス性の胃腸炎になります。
1回のうんちの量が多く、酸っぱい匂いがして、少し白っぽいうんちは、ウイルス性胃腸炎の可能性が高いです。
また、うんちに血液や粘液が混ざっている場合、サルモネラ菌やカンピロバクター菌による腸炎の可能性もあります。
このような場合、おむつと一緒にうんちを持ってきていただくと、色や匂いを確認することができます。
また、消化器系の感染症以外にも、食物アレルギーが下痢の原因となることもありますので、その可能性も考慮に入れます。
長引く下痢って?
もし下痢が2~3週間続くときは、それを「遷延性下痢」と呼びます。この場合、特に「二次性乳糖不耐症」が考えられます。
胃腸炎から2週間くらいは、通常の下痢治療が行われますが、その後も下痢が続き、さらに乳製品を食べると下痢が出るようなら、二次性乳糖不耐症の可能性があります。
血便
子供のうんちに血が見えると、お母さんはきっと心配になりますよね。でも安心してください、これにはいろいろな原因があります。
子供が少し下痢をしていて、うんちに少量の血が見える場合、それはたいてい「お腹の風邪」(ウイルス性腸炎)が原因です。
もし子供が高熱を出したり、お腹の具合が特に悪そうなら、細菌性腸炎が原因かもしれません。
元気な赤ちゃん(特に母乳を飲んでいる子)がうんちに少量の血を出すことがあるのは、リンパ濾胞増殖症という病気の可能性もあります。
普通のうんちにちょっとだけ血がついている場合は、便秘でおしりにちょっと傷(裂肛)ができてしまった可能性があります。
また、「腸重積」という病気も考えられます。これは腸がつまってしまって、血液の流れが悪くなると、うんちに血が混ざることがあります。
この病気は、赤ちゃんが時々泣き、うんちに血が見えたり、吐いたりする場合に疑います。
こういう症状がある場合は、すぐに病院へ連れて行きましょう。
ただ、全ての「血便」が病気によるものではありません。食べ物が原因でうんちが赤くなることもありますし、時には見間違えることもあります。
だから、うんちに血が混じっているかどうか心配なときは、そのうんちをそのまま病院へ持っていき、医師に相談してください。
腹痛
子どもの腹痛について知っておきましょう!
子どもが「お腹が痛い」と言うことは、よくあることです。その原因としては、お腹がゆるい(下痢)、逆に出にくい(便秘)ことによって、お腹の中の動きが通常とは違うときがほとんどです。でも、中にはちゃんとした治療が必要な場合もありますので、子どものお腹の痛みがすぐに良くなるかどうか、また、続くのか、その他に熱が出ていないかなど、よく観察してみてください。しかし、お腹が痛いということが必ずしも「お腹の病気」を意味するわけではありません。例えば、下痢や便秘の症状がなく、いつもとは違って元気がない時には、他の原因があるかもしれません。そのような場合は、早めに受診をしましょう。
赤ちゃんの腹痛・・・どんな病気?
赤ちゃんがお腹が痛いと感じているとき、それは機嫌が悪いという形で表現されます。特に気をつけていただきたいのは、「嘔吐」、「便に血が混じっている」、「泣いたり不機嫌になることが繰り返される」の3つの症状が一緒に見られる場合です。これは腸重積症という、深刻な問題のサインかもしれません。ただ、これらの全ての症状が必ずしも同時に出るわけではありません。
赤ちゃんの機嫌がいつもと違う、または普段よりミルクをあまり飲まないときは、医療機関を訪れて診てもらうことをおすすめします。あなたの気づきが赤ちゃんの健康を守る大切な一歩となります。
園児の腹痛・・・どんな病気?
幼稚園や保育園のお子さんがお腹が痛いと言うとき、多くの場合は下痢や便秘、または胃腸炎が原因です。しかし、中には虫垂炎との可能性もあります。
子どもが一時的にお腹が痛いと訴えるのか、それとも痛みが続くのか、よく見てみてください。一時的な痛みであればあまり心配する必要はありませんが、痛みが続くようであれば、受診をすることをお勧めします。
小学生の腹痛・・・どんな病気?
小学生のお腹の痛みも、幼児期と同じように、一時的なものなのか、それとも続いているのかをしっかり観察しましょう。しかし、この年齢になると、自律神経や心の問題が原因でお腹が痛くなることもあります。
特に学校のテストや友達関係など、子どもが緊張しているか、ストレスを感じているかを確認することも大切です。心の問題が体の不調として現れることもあります。
子どもの頭痛
子どもの頭痛について知っておきましょう!
子どもが頭痛を訴えるとき、その原因は様々です。大きく分けて、急に起こる「急性の頭痛」と、続いたり何度も繰り返す「慢性・反復性の頭痛」があります。 風邪をひいて熱が出ているときなど、急に頭が痛くなることがあります。これは「急性の頭痛」です。一方、「慢性・反復性の頭痛」は、片頭痛がよくあります。 それ以外にも、頭痛の原因はさまざまです。
子どもの頭痛の原因って何?
子どもが頭痛を訴える場合、以下のような原因があります。子どもの頭痛が続く場合や頻繁に起こる場合は、医療機関を受診することをお勧めします。
- 片頭痛:これは頭痛がとても強く、しばしば何度も繰り返します。片頭痛は大人と違い、子どもでは必ずしも一方だけの頭が痛むわけではありません。明るい光や大きな音が辛くなったり、吐き気を感じることもあります。休息と暗い部屋で安静にすることが大切です。
- 筋緊張型頭痛:これは「バンドが頭を締め付ける」ような感じの頭痛です。ストレスや不良な姿勢、長時間のゲームや携帯操作や勉強が原因となることがあります。こまめに休息を取る、リラクゼーションをするなどが役立ちます。
- 感染症(副鼻腔炎含む):風邪やインフルエンザなどの感染症は頭痛を引き起こすことがあります。また、鼻の奥の副鼻腔が炎症を起こすと、顔の特定の部分が痛む副鼻腔炎の頭痛もあります。この場合は医師の診察が必要です。
- 睡眠不足:子どもが十分な睡眠を取っていないときに頭痛が起こることがあります。睡眠時間を見直し、必要であれば早めの就寝や昼寝を促すことが大切です。
熱性けいれん
熱性けいれんとは?
熱が急に上がった時、子どもは「熱性けいれん」を起こすことがあります。特に、生後6ヵ月から5歳までの子どもは、熱性けいれんを起こしやすいとされています。これは全く珍しい状態ではなく、実際には10人の子どものうち1人くらいが経験します。熱性けいれんを起こした子どもの中でも、3人のうち2人は一生に1回だけで、再発するのは3人のうち1人です。けれども、万が一再発した場合のために、どう対処するかを覚えておくことは大切です。
また、熱が上がってけいれんを起こす病気は、熱性けいれんだけではありません。子どもがけいれんを起こした場合は、必ずお子さんの主治医にご相談ください。
けいれんってどんなもの?入院するの?
熱性けいれんは、手足がふるえる、目が上を向いてしまう、全身が固まってしまう、ぼんやりとしてしまう、などの症状が現れます。通常、これらの症状は5分以内に収まりますし、脳に障害を引き起こしたり、子どもの知能が下がるようなことはありません。しかし、5分以上続くけいれん、発作後に30分以上意識が戻らない、短時間でけいれんが繰り返されるといった場合には、入院する必要がある場合もあるので、すぐに医療機関を受診しましょう。
けいれんが起こった場合はどうすればいいの?
子どもがけいれんを起こした時は、冷静になることが大切です。以下に、けいれんが起こった場合の対処法をご紹介します。
あわてない、あわてない
まずは深呼吸をして、落ち着いてください。
けいれんは怖い見た目ですが、ほとんどの場合数分で止まり、命に関わるものではありません。
安全の確保
次に、子どもの安全を確保します。子どもが舌を噛んでも、命に関わることはありませんので、指や箸、タオルなどを口の中に入れないでください。
平らな場所に子どもを寝かせ、服を緩めて、顔を横に向けて、もしもの時のために喉に物が詰まらないようにします。
けいれんの観察
余裕があれば、けいれんの状況を観察してください。けいれんが何分続いているか、手足や目の動き、顔色や唇の色、子どもが呼びかけに反応するかなどをチェックします。
可能であれば、スマホ等で動画を撮影するのもおすすめです(その際は、顔だけではなく体全体が映るようにしましょう)。
けいれんが止まったら、子どもが呼びかけに反応するか、名前が言える子どもなら名前が言えるかを確認します。
反応がない場合は、まだ痙攣が続いている可能性がありますので、その際はすぐに医療機関に連絡してください。
突発性発疹
突発性発疹という病気は、主に生後6ヶ月から2歳くらいのお子さんがかかることが多く、ヒトヘルペスウイルス6型や7型が原因です。この病気の特徴は、突然の高熱と発疹です。
突然高熱が出て、その熱は3~4日間続くことが多いです。その間、咳や鼻水といった風邪の症状はほとんど見られませんが、便が緩くなることがあります。
そして、熱が下がると体中に発疹が出ます。この発疹が出る時が、一番子どもが不機嫌になることがあります。
しかし、心配ご無用です。この発疹は2~3日で薄くなり、その後消えていきます。その数日間はお子さんが不機嫌になるかもしれませんが、その後は元気に過ごせるはずです。
一つ注意点としては、この病気は発疹が出て初めて診断がつきます。
そのため、発疹が出現する前に突発性発疹と診断することは難しいとされています。
突然の高熱による不安を取り除くためにも、何か異常を感じたら早めに医療機関にご相談ください。
アデノウイルス感染症
アデノウイルス感染症は、主にのどの痛み(咽頭・扁桃炎)、目の赤み(結膜炎)、お腹の調子が悪い(胃腸炎)という三つの形で現れます。
お子さんがこのような症状を示した場合、迅速検査キットを用いて15分程度で診断が可能です。
具体的な症状は次のようなものです
- のどの痛み(咽頭・扁桃炎):39~40度の高熱が4~5日間続き、のどが痛むことが特徴です。
- 目の赤み(結膜炎):目が赤く腫れ上がり、目やにが出ます。
- お腹の調子が悪い(胃腸炎):下痢や吐き気、お腹が痛むことがあります。
アデノウイルス感染症は、結膜炎だけの場合は「はやり目」と呼ばれ、結膜炎に加えて咽頭・扁桃炎がある場合は「プール熱」と呼ばれます。
治療には、アデノウイルスに直接効く薬はありませんが、目の赤みを和らげる薬や、二次感染を防ぐ目薬が処方されることがあります。
この感染症は他の人にもうつりますので、注意が必要です。
はやり目の場合は、感染の恐れがなくなるまで、プール熱の場合は、発熱、咽頭炎、結膜炎などの症状がなくなった後、学校や保育園への出席は2日間お休みしてください。
RSウイルス感染症
RSウイルス感染症は、お子さんが風邪を引く原因の一つとなる病気です。
一度罹ったら終わりというものではありません。生涯に何度も感染します。
実際、1歳までに70%の子供が、2歳までにはほとんどの子供が一度は感染するといわれています。
1歳未満であれば、迅速検査キット(15分程度で結果が出ます)で診断することが可能です。
大きな子供たちの場合、最初に咳が出ることがありますが、大体1週間から12日ほどで元気になることが多いです。
でも、小さな赤ちゃんたちの場合、鼻水が出てきてから2~3日後に急に息が苦しくなったり、ゼイゼイという呼吸音が聞こえたり、おっぱいやミルクを飲むのが難しくなることがあります。
このような症状はだいたい1週間ほどで最も強くなり、咳が治まるまでには2~3週間ほどかかることが多いです。
特に注意が必要なのは、生まれてから6ヶ月未満の赤ちゃんや、ちょっと早めに生まれた赤ちゃん、また、生まれつき心臓や肺に問題がある子供たちです。
RSウイルスには特別な治療薬がなく、症状を楽にするための治療が主に行われます。ほとんどの場合、病院の外来で治療できますが、ミルクが飲めない場合や、十分に酸素を吸えない場合は、病院に入院する必要があります。
ヒトメタニューモウイルス
ヒトメタニューモウイルス感染症は、お子さんが風邪を引く原因の一つとなる病気です。
このウイルスは子どもたちにとてもよく見られ、実は2歳までの半数の子どもたち、そして10歳までにはほとんど全ての子どもたちが一度はこのウイルスに感染すると言われています。さらに何度も再感染することがあります。
6歳未満のお子さんで、肺炎が疑われる場合、迅速検査キットを使用して10分ほどで診断が可能です。
この病気の主な症状としては、咳、鼻水、ゼーゼーという息苦しさ、そして発熱があります。
発熱は5日間程度続くことがありますので、長引く場合は医師に相談してください。
治療については、特定のヒトメタニューモウイルスに対する薬はありません。
そのため、主に症状を和らげるための対症療法が行われます。
ほとんどの場合、病院の外来で治療できますが、十分にミルクが飲めない場合や酸素を十分に吸えない場合は、入院が必要になることがあります。
溶連菌感染症
溶連菌感染症は、主にのどの痛みや発熱などを引き起こす病気です。
特に、のどの奥や口の上部に小さな出血点が見えたり、体や手足にかゆみのある発疹が出たりします。
発疹が現れる場合は、「しょう紅熱」とも呼ばれます。舌がイチゴのように赤くなる「イチゴ舌」もこの病気の特徴的な症状です。
また、お腹が痛くなったり、嘔吐することもあります。
治療方法としては、溶連菌に効果的な抗菌薬が処方されます。
通常はペニシリン系の薬を10日間飲むことが多いですが、薬の種類によって期間は少し変わることもあります。
治療を始めて1~2日後には熱が下がることが多いですが、熱が下がったとしても、医師の指示通りに薬は最後まで飲み切るようにしてください。
発疹は3~4日で消えていきます。
しかし、途中で薬をやめてしまうと、病気が再発することがあったり、リウマチ熱(心臓に影響を及ぼす可能性がある病気や、関節痛など)を引き起こすことがあるので注意が必要です。
また、稀にこの病気は腎炎を引き起こすことがあります。
治療を始めて1~4週間後に、元気がなくなったり、尿が少なくなったり、顔(特に目の周り)がむくんだり、尿が赤くなるなどの症状が現れたら、すぐに医療機関に連絡してください。
溶連菌感染症に対する治療を始めてから24時間後、お子さんの熱が下がり元気が出てきたら、学校や保育園に行っても大丈夫です。
インフルエンザ
インフルエンザは、急に高熱が出て体がだるくなる病気です。のどの痛みや頭痛、筋肉痛も起こります。ほぼ同時期に咳や鼻水が出始め、時には吐き気や下痢などの症状も出ます。熱は4~5日間続くことが多いですが、お子さんの場合、一度熱が下がった後、数日後に再び熱が出ることもあります。
診断は迅速検査キット(結果が10分程度で出ます)で行います。ただし、発症から12時間以内や5日以上経過している場合は、検査の精度が低くなることがあります。
治療には、インフルエンザに効く薬(タミフルやリレンザ、イナビルなど)が使われます。しかし、実際には薬を使わなくても自然に回復することがほとんどで、薬の効果は発症から48時間以内に使った場合、回復までの期間が半日~2日程度短くなるというものです。
病気が始まってから5日間(発熱した日を0日として)と、熱が下がってからさらに2日間(幼児は3日間)は、学校や保育園への出席を控えてください。
また、注意点として、薬の種類や服用の有無にかかわらず、急に走り出したり、幻覚を見るなどの異常行動を示すことがあります。少なくとも2日間はお子さんを一人にしないで見守ってください。
マイコプラズマ
幼児から学齢期の子供たちに特によく見られます。
マイコプラズマ肺炎では鼻水は比較的少なく、乾いた咳や微熱などが主な症状として現れます。一部の患者さん(10%程度)では肺炎に進行することがあります。特徴的なのは、熱があっても比較的元気で活動的であることです。診断には専門的な検査(LAMP法)が一般的に用いられ、結果が出るまでに約3日ほどかかります。
治療には抗生物質が使用されますが、マイコプラズマによる上気道炎や軽度の気管支炎であれば、抗生物質の投与がなくても自然に軽快することがあります。症状が重く、呼吸困難や水分摂取が困難な場合には入院治療が必要となることがあります。
なお、クラリス(クラリスロマイシン)といったマクロライド系抗生物質は甘いコーティングが施されていますが、風邪薬や酸性の飲料(例えばポカリスエットやオレンジジュース、ヨーグルトなど)と混ぜると、甘いコーティングが取れて非常に苦くなることがあります。そのため、混ぜる際はチョコレートアイスクリームやココアなどが推奨されます
クループ症候群
クループ症候群は主に子供(好発年齢は、6ヵ月~3歳頃までの乳幼児のお子さん達です)に見られる疾患で、ウイルス感染により喉頭(声を出す部分)や気管が腫れて狭くなり、特有の咳や声のしゃがれ、呼吸困難などの症状を引き起こします。
クループの主な症状は「犬吠様咳嗽」(オットセイの鳴き声や犬の吠えるような咳)と「嗄声」(しゃがれた声)です。症状が重くなると、吸気時に「ゼー、ゼー」という音がする「吸気性喘鳴」や、努力して呼吸をする「努力性呼吸」(胸骨や肋間の陥没)などが見られるようになります。
診断は主に症状から行います。鑑別診断のために、レントゲンや血液検査を行うこともありますが、多くの場合は特徴的な症状からクループを診断することが可能です。
治療は症状の重さによります。治療は吸入薬やステロイドの内服薬を用いてのどの腫れを抑えます。自宅での安静や水分補給、湿度を上げるなどの対症療法も大切です。呼吸困難が強くなったり、十分に酸素を吸えない場合は、入院して治療を行うこともあるため、必要に応じて早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
手足口病
手足口病はエンテロウイルスというウイルスが原因です。軽い熱が出たることもありますが、熱が出ないこともあります。病気が始まってから2日目頃に、手のひら、足の裏、足の甲、口の中に小さな水ぶくれが出てきます。これは、おしりや膝にもできることがあります。かゆみを感じることもあります。
口の中に水ぶくれができると、のどの痛みが強く、食事がしにくくなることもあります。手足口病には、特定の治療法はありません。
大切なのは、お子さんの症状を和らげ、楽にさせることです。大抵の場合、3~7日で自然によくなります。特別な薬を使うものではなく、主にお子さんが感じる痛みや不快感を和らげるための対症療法になります。
また、完全に治った後でも、1ヶ月ぐらい経つと爪が割れたりはがれたり、指の皮がむけたりすることがありますが、これは一時的なもので心配はありません。
熱がなく、普段の食事がとれる場合は、登園・登校できます。
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは、「エンテロウイルス」というウイルスによって引き起こされます。突然の高熱(41℃まで上がることもあります)と、のどの痛みやよだれが多くなることが特徴です。また、吐き気やお腹の痛みを感じることもあります。
口の中、特にのどちんこの近くに小さな水ぶくれや潰瘍、赤みが出ることがあります。高熱は1~4日で下がり、口の中の症状もだいたい1週間で治まります。
特別な治療方法はありませんが、痛みや熱を和らげる薬を使って症状を軽減します。元気が出て熱が下がり、普段通りに食事ができるようになれば、学校や保育園に行っても大丈夫です。
はしか(麻疹)
麻疹は、麻疹ウイルスによって引き起こされますが、空気感染によってうつってしまいます。
感染してから症状が出るまでの間(潜伏期間)は、だいたい10~12日程度です。初めの2~4日間は、高熱、咳、鼻水、目のトラブルなど、まるで風邪のような症状が現れます。そして一度熱が下がった後、再度高熱が出て、麻疹特有の発疹が出てきます。その後、3~4日間は高熱が続きます。
麻疹は、とても感染力が強く、さらに合併症を起こしやすい病気です。合併症としては、脳炎や肺炎などがあり、これらは非常に深刻な状況を引き起こすことがあります。実は、麻疹による死亡率は、インフルエンザウイルスの10倍とも言われています。
ですから、麻疹には特別な治療法はなく、麻疹を防ぐ最善の方法は、予防接種を受けることです。さらに、お子さんが麻疹に罹った場合、熱が下がっても3日間は学校や保育園への出席を控えてください。
風疹(3日はしか)
風疹ウイルスというウイルスが原因です。咳・鼻汁などを介した飛沫感染・接触感染で感染します。風疹の主な症状は、微熱、リンパ節の腫れ、そして特徴的な小さな赤い発疹(ほっぺたや体に現れる小さな赤い点)です。この発疹は、全身に広がることがありますが、おおむね3日程度で消えていきます。熱については、微熱が出ることもあれば、まったく出ないこともあります。また、お子さんが大きくなると、頭痛や関節痛を感じることもあります。熱が下がって、発疹が出すべて消えるまで学校や保育園への出席を控えてください。。
診断は迅速検査等での早期診断はできません。血液検査(風疹特異的IgM抗体の測定など)で診断します。
感染初期に風疹に罹ると、生まれてくる赤ちゃんに目や耳、心臓に障害をきたすことがあります。妊婦や妊娠しているかもしれない人に近づかないようにしましょう。妊婦さんが風疹に罹ったかもしれないと心配になったら、産科の先生に相談してください。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
「おたふくかぜ」とは、耳の前や顎の真ん中にある「つばを作る部分」(これを耳下腺や顎下腺と言います)が腫れて痛む病気です。食事をすると、特に痛みが強くなることがあります。たいていは片側の耳下腺が腫れ始めると、2日以内に反対側も腫れてきます。ただし、片方だけが腫れることもあります。最も腫れがひどくなるのは3日目ぐらいで、1週間ぐらいでおさまることが多いです。
小さなお子さんではあまり熱が出ないことが多いですが、小学生になると熱を出すこともあります。おたふく風邪の診断は、こうした症状を見て判断します。血液検査で確認することもありますが、結果が出る頃にはほとんどの場合、症状が落ち着いています。
治療法は特にありませんが、痛みを和らげるために痛み止めを使うことがあります。
腫れてから5日間経過し、また熱が下がり、食欲が戻って元気になるまで学校や保育園への出席を控えてください。
また、1歳以上のお子さんには、おたふく風邪の予防接種を受けてもらうことをお勧めします。
反復性耳下腺炎
「おたふく風邪」に似た病気で「反復性耳下腺炎」というものがあります。これは、おたふく風邪ウイルスだけでなく、他のバイ菌が耳下腺に入り込んで腫れを引き起こします。「何度も腫れる」ことから「反復性」と名前がついています。片方だけが腫れることや、腫れる期間が2~3日程度と比較的短いことが特徴です。
初めはこの病気が「おたふく風邪」なのか「反復性耳下腺炎」なのかははっきりしません。そのため、耳が腫れてから5日間は、念のため「おたふく風邪」として扱い、学校や保育園への出席を控えてください。
百日咳
「百日咳」という病気は、最初はよくある風邪とそっくりなんですが、だんだんと咳が多くなり、顔を真っ赤にして咳が出るようになります。その咳が一番ひどいのは、病気が始まってから1~2週間ぐらいです。それから3~4週間が経つと、少しずつ咳が軽くなってきます。
特に赤ちゃんの場合、咳が強すぎて息ができなくなることもあります。そのため、百日咳にかかった赤ちゃんは、入院が必要になることが多いです。この病気は赤ちゃんにとってとても危険な病気なので注意が必要です。
また、特有の咳がなくなるか、または効果的な抗菌薬を5日間使って治療が終わるまで、学校や保育園への出席を控えてください。
百日咳の予防接種は大切ですが、4,5歳頃になるとその効果が落ちてくることがあります。そのため、自費になりますが、小学校に入る前に再度3種混合ワクチンの接種を受けることをおすすめします。
水ぼうそう
「水ぼうそう」は、体中にかゆい水ぶくれ(水疱)ができる病気です。この病気は水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされます。水ぶくれは、首の周りや胸、お腹などに多く見られますが、顔や手足にも広がることがあります。
最初は、ちょっとした赤い発疹が見られますが、1日経つとその発疹が水ぶくれに変わり、その後数日で中がにごった水ぶくれからこげ茶色のかさぶたに変わります。このように、水ぶくれやかさぶたが混在して出てくるのが水ぼうそうの特徴です。全てがかさぶたに変わるまでには、だいたい7~10日ほどかかります。
水ぼうそうの診断は主にこれらの症状を見て行われます。ただし、発疹が出始めて半日ぐらいの段階では、なんの病気なのかはっきりしないことがあります。その時は、迅速な検査キットを使って診断することがあります。
治療は抗ウイルス薬(アシクロビル、バラアシクロビルなど)を5日間飲むことが一般的です。水ぶくれにはフェノール亜鉛華リニメント(通称:カチリ)などを塗ることもあります。かゆみが強い時は、かゆみ止めの薬を飲むこともあります。
水ぼうそうは感染力が強いため、全ての発疹がかさぶたになるまで、学校や保育園への出席を控えてください。
伝染性紅斑(リンゴ病)
「伝染性紅斑」は、パルボウイルスB19というウイルスが原因で、左右のほっぺたや手足(特に上腕の外側、太もも、お尻)に発疹が出る病気です。ほっぺたの赤い発疹はリンゴのように見えるため、「リンゴ病」とも呼ばれます。手足の発疹は、レースのような模様や網目模様に見えることがあります。
伝染性紅斑には微熱や風邪のような症状、あるいは関節痛が出ることもありますが、大抵の場合、自然と治る病気で、1~2週間で元気になります。なお、一度消失した発疹が日光や機械的な刺激で再び出ることもあります。特別な治療法はなく、熱や関節痛がある場合は、解熱剤や痛み止めを使うことがあります。
なお、この病気はすでに発疹が出てからは他の人にうつらないと考えられています。だから、発疹が出ていても通常、学校や保育園に行くことができます。ただし、体調が悪い場合は無理をせず、家でゆっくりと休んでください。
伝染性単核球症(EBウイルス感染症)
「伝染性単核球症」は、EBウイルスというウイルスが原因で引き起こされる病気です。子どもが急に高熱を出し、のどが痛くなる、首の周りのリンパ節(むくみやすいところ)が腫れるなどが主な症状です。この高熱は数日から、場合によっては1~2週間も続くことがあります。
また、体中に赤い発疹が出たり、目の周囲がむくんだりすることもあります。さらに、肝臓や脾臓が腫れたり、肝臓の働きが悪くなることもあります。
伝染性単核球症は、病院で血液検査をして確認します。なお、特別な薬を使って治す方法はありませんが、ほとんどの場合は1~2週間で自然に治ることが多いです。
しかし、病気の状態によっては、高熱がずっと続いたり、肝臓の働きがひどく低下したりする場合もあり、そのような場合は病院での治療や入院が必要になることもあります。
ヘルペス性歯肉口内炎
「ヘルペス性歯肉口内炎」は、単純ヘルペスウイルスが初めて体に入るときに引き起こされる病気です。この病気の主な症状としては、38~40℃の高熱が4~5日続くこと、口の中や唇、周囲に小さな水疱(水ぶくれ)ができることが挙げられます。また、歯ぐきが腫れて出血することもあります。
口の中がとても痛いため、子どもが水分を摂るのが難しくなることがあります。そのため、特に脱水症状に気をつけることが大切です。そのような症状が見られた場合は、すぐに医師に相談してください。
この病気の治療としては、抗ウイルス薬を処方することがあります。これにより、ウイルスの増殖を抑え、症状を軽減します。
そして、熱が下がり、食欲が戻ったら、学校や保育園に行くことができます。
周期性嘔吐症・自家中毒
「周期性嘔吐症」は、別名「自家中毒症」や「ケトン血性嘔吐症」とも呼ばれ、周期的に強い吐き気や嘔吐が繰り返し起こる特徴があります。発作が起こっていない時は、子どもは全く普通で何の症状もありません。
この病気は2歳から10歳の間に多く見られ、特に体格が華奢で繊細な子どもたちに多いです。発熱や遠足の後、発表会の前後など、ストレスがかかる時に発作が起きやすい傾向があります。子どもが急に顔色が悪くなり、お腹が痛い、吐き気がする、頭痛がすると訴え、その後何度も嘔吐を繰り返します。この病気の診断は、尿検査で「ケトン体」という物質が見つかるとき、または同じような症状が何度も繰り返されるときに診断されます。しかし、原因ははっきりしておらず、特定の検査で証明することは難しいため、臨床的な症状と経過から診断することもあります。
治療方法は標準的なものはなく、発作が治まるまでは子どもが食事や水分を摂ることが困難になるため、点滴を行うことが多いです。必要に応じて、入院治療も行われます。
ほとんどの場合、発症後2~5年程度で自然に症状が軽くなるとされていますが、まれに成人期まで症状が残ることや、片頭痛に移行することもあります。そのため、長期間の観察が必要とされています。
低身長
「低身長」と聞くと、お子さまの成長について心配になるかもしれませんね。しかし、身長が低いというだけで必ずしも問題があるわけではありません。
お子さまの身長は年齢によって変わりますし、何歳何カ月ごとの基準が設けられています。インターネット上には年齢別の身長基準を自動計算してくれるウェブサイトがありますので、そちらを使ってお子さまの身長を確認すると良いでしょう。
また、成長ホルモンの分泌が十分でないかを確認するためのテストがあります。これは成長ホルモン分泌刺激試験と呼ばれ、大学病院などで行われます。この試験の結果、基準値を下回った場合には「低身長」の診断が確定し、治療の必要があると判断されます。その際には成長ホルモンを補充する治療が適応となります。これにより、お子さまの身長の成長を助けることができます。
低身長について心配なことがあれば、お気軽に当院までご相談ください。一緒にお子さまの成長を見守っていきましょう。
夜尿症(おねしょ)
5歳以降になっても月に数日おねしょが続く場合を、夜尿症といいます。これは決して珍しいことではなく、5~6歳の子どものうち5人に1人、10歳の子どもでも20人に1人にみられます。実は、私自身も10歳までおねしょをしていました。
大抵の場合、夜尿症は自然に治るものですが、学齢期になると、おねしょが原因で自信を失ったり、心に傷を持つことがあります。海外の調査では、8歳~16歳の夜尿症の子どもたちは、両親の離婚や争いに次いで、深い精神的なダメージを受けていると報告されています。私自身もその経験から、同じように悩む子どもたちの力になりたいと思っています。
夜尿症の治療は、生活習慣の改善から始めます。規則正しい生活リズムを保つこと、便秘を治すこと、夜寝る前の水分の取り方を見直すことなどが大切です。これらの生活習慣を改善するだけでも、おねしょが治る子どもが約2~3割います。
それでもなかなか改善しない場合には、薬物療法やアラーム療法があります。薬物療法では、尿の量を減らす薬や、尿を溜めやすくする薬が使われます。アラーム療法は、お子さんのパンツに小さなセンサーをつけ、おねしょが始まるとアラームが鳴る訓練方法です。これによって、おねしょの瞬間を自分で感じ取り、夜間に尿をためる能力を養います。
お子さんのおねしょについて、もし何かお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
起立性調節障害
「起立性調節障害」は、俗にいう“脳貧血”です。小学校で朝の全校集会や授業で話を聞いていて、突然立っていられなくなる子供がいるかもしれません。それが起立性調節障害です。
小学校の低学年ではなく、高学年から高校生くらいの子供によく見られます。特に午前中に具合が悪く、午後になると少しずつ元気になってくるという特徴があり、朝起きることが苦手で、症状が強い場合は学校にいけない子もいます。だからときどき「サボっているんじゃないか?」と思われることもあるかもしれません。
起立性調節障害は、自律神経がうまく働かないことが原因で起きます。自律神経は体の機能のバランスを保つ役割があり、立ち上がったときに血液が下半身に集まらないように血管を引き締めるなどして調整してくれます。ところが、自律神経のバランスが乱れてしまうと、血液が下半身に集まりすぎてしまい、脳に十分な血液が行き届かなくなります。その結果、立ちくらみやめまい、倦怠感などが出ることがあります。朝起きれないこともこれが原因です。
起立性調節障害の対策として一番大切なのは、規則正しい生活を心がけることです。立ち上がるときは頭を下げてゆっくりと、水分や塩分をしっかり摂り、毎日30分は歩くなど、生活の中での工夫が大切です。それでも症状が改善しないときは、薬を処方することもあります。起立性調節障害は症状の程度によっては長引くこともありますが、ほとんどの場合、成長とともに自然と改善するので、あまり心配する必要はありません。
貧血
「貧血」は、血液中のヘモグロビンが少なくなっている状態を指します。このヘモグロビンは、酸素を体中に運んでくれる大切な働きをしています。そして、このヘモグロビンを作るためには「鉄」が必要なんです。
赤ちゃんも貧血になることがあります。もともとお母さんのおなかにいる間に、赤ちゃんに鉄が送られ蓄えられていました。出生後しばらくは、その蓄えた鉄でヘモグロビンを作っていたんですが、段々と足りなくなります。特に、離乳食に含まれる鉄が少ないと、赤ちゃんは貧血になりやすいです。実は、赤ちゃんの10人に1人ぐらいが鉄欠乏状態なんです。
また、思春期の子供たちも貧血になりやすいです。体が大きく成長するこの時期、鉄などの栄養がたくさん必要になります。でも、厳しいダイエットや偏食、生理の出血によって鉄が不足し、貧血になることがあります。
赤ちゃんは自分で症状を訴えることはできませんが、思春期の子供たちは心臓がドキドキする、息が切れる、体がだるい、立ちくらみ、頭痛などを感じることがあります。
貧血の治療は、鉄剤の服用が基本です。貧血自体は約1ヶ月で改善しますが、その後も体内に鉄をしっかり蓄えるために、数カ月間は鉄剤を続けて服用することが大切です。
夜驚症
「夜驚症」は、お子さんが深い眠りの中から突然、「怖い、怖い」と叫んだり、怖がったり、パニック状態になってしまいます。これは普通、就寝してから1〜2時間後に起こります。大抵は数分〜数十分で落ち着き、数分後にまた眠ってしまうことが多いです。そして、次の朝には、前の夜に何があったのかほとんど覚えていないことが特徴です。
なぜ夜驚症が起こるのか原因はまだはっきりとはわかっていませんが、お子さんの脳の睡眠機能がまだ成熟していないことが関係していると考えられています。お子さんのうち2~7%がこの病気を経験するとされており、特に4歳から7歳の間が一番起きやすい年齢です。
大抵の場合、お子さんが大きくなるにつれて、自然とこの症状は治まります。漢方薬が効果的なこともあります。どんな時でも、お子さんの安全と安心を保つために、夜驚症が起きた時は落ち着いて対応してあげてください。
チック
チックとは、子どもが自分の意志とは関係なく、体が動いたり、声が出たりすることを指します。これは、頻繁にまばたきをしたり、咳をしたり、頭を振ったりと様々な形をとります。
小学生の中で、10人から20人に1人ぐらいがチックを経験します。1~2ヵ月で消えることもありますし、多くは1年以内に消えてしまいます。チックは、子どもが緊張したり、不安を感じたときに出やすく、またリラックスしたときにも現れやすいのです。
チックの具体的な原因ははっきりしていませんが、生まれつき、チックを出やすい脳の作りを持っている子どもがいると考えられています。
もし、お子さんがチックを出していると気付いたら、まずは落ち着いてください。そして、お子さんが緊張したり、不安を感じるような環境を見直してみてください。そして、「それ、やめて」と注意したり、「またやったね!」と叱るのは避けてください。これは、チックをさらに強くしてしまう可能性があります。焦らずに、ゆったりとお子さんを見守ることが大切です。
吃音
吃音は、言葉をスムーズに話すことが難しくなる状態を指します。具体的には、「ぼぼぼ・・・くは」と一部の音を繰り返す「連発」、「ぼーーーくは」と音を長く伸ばす「伸発」、「・・(数秒)・・ぼくは」と言葉の最初の音が出ない「難発」があります。なお、歌ったりするときは、吃音の症状が出ないことが多いです。
この吃音、実は2~5歳の子供のうち20人に1人ぐらいが突然発症します。そして、その症状は人それぞれ大きく違います。大体、3年くらいで半数以上の子供たちが自然と症状が改善します。
吃音に対するご家庭での対応
- そのままで大丈夫だと子供に伝え、ゆっくりと話を聞いてあげてください。
- 吃音が出やすい特定の言葉や場面があることを理解し、配慮してあげてください。
- 子供が他の子たちからからかわれないよう、幼稚園や学校の先生には吃音について理解してもらい、対応をお願いしてください。
- 家庭内で吃音について自由に話せる雰囲気を作ることも大切です。
以下のことは避けてください。
- 自分からアドバイスをしたり、子供の吃音を真似たりしないでください。これは子供の自尊心を傷つけることになります。
- 言い直しをさせたり、特別な練習をさせたりしないでください。これは子供にストレスを与えることになります。
- 子供が何を言おうとしているのかを先取りしないでください。これは子供の話す意欲を削ぐことになります。
吃音は子供自身がどうにかしようとするほど、むしろ症状が強くなることもあります。大人たちが対応するときも、子供を理解し、受け入れ、支えることが大切です。
指しゃぶり
多くの赤ちゃんは、生後2~3か月頃から、手を自分で口に持っていき、指をしゃぶり始めます。これが最もよく見られるのは、1歳半から2歳頃です。おなかが空いた時や眠い時にすることが多いのですが、これは赤ちゃんにとってはとても自然な行動です。
3歳頃までは特に心配することはありません。子どもが様々なことに興味を持つようになると、自然と指をしゃぶることを忘れてしまうことが多いです。指をしゃぶっていないときには、ぜひお子さんをほめてあげてください。もし少し不安そうなときや寂しそうなとき、または寝る前に指をしゃぶっているようなら、それは子どもなりの安心感を求めているのかもしれません。そのようなときは無理にやめさせたり、叱ったりしないであげてください。また、3歳ごろまでは指をしゃぶることが歯並びや噛み合わせに影響することは、指を強く吸ってタコができるほどの場合を除き、基本的には心配ありません。
ただし、4歳頃になっても指しゃぶりが続いている場合は、子どもが何かストレスを感じているのかもしれません。そのような場合は、指に苦い薬を塗ったり、厳しく指導するよりも、子どもの気持ちに寄り添い、一緒に原因を見つけ出すことが大切です。
成長痛
「成長痛」は、3歳から8歳頃の子どもにみれら、特に膝や足を激しく痛がります。ただし、日中にはほとんど症状がなく、医師の診察や検査でも特に問題が見つからない場合、この痛みを「成長痛」と診断します。その原因についてはまだはっきりしていません。
成長痛の主な特徴は以下の通りです:
1.痛みを感じる部位は主に膝やすねなどの下肢です。痛みは両側に出ることが多いですが、片方だけに出ることもあります。痛む部位が腫れ上がることはありません。
2.痛みを感じる時間帯は夕方から夜にかけてが多いです。痛みは短時間で収まりますが、再発することがあります。
3.痛む部位をさすったり、温めたりすると、痛みが和らぐことがあります。
ただし、小学校の高学年から中学生が膝や足に痛みを訴える場合、これは成長痛ではなく、スポーツなどによる過労が原因となっていることが多いです。そのような痛みは別のものとして扱います。
肘内障
子供の手を強く引っ張られた後などに、突然ひじが痛くなり、腕を挙げることができなくなります。これはひじの関節が外れかかってしまっている状態です。もし、お子さんがこのような様子を見せたら、すぐに医療機関に受診をしてください。ちょっとした手技で元に戻ることができます。
また、一度肘内障になった子どもは、再び同じように手を引っ張られると同じ症状が出やすいです。なので、大人の方は、お子さんの手を強く引っ張らないように注意していただきたいです。
肘内障は年齢とともに起こりにくくなります。小さいお子さんの関節はまだしっかりと固まっていないため、簡単にずれやすいのですが、成長とともに関節がしっかりと固まるため、肘内障になりにくくなります。
漏斗胸
「漏斗胸」とは、お子さんの胸の中央部分がくぼんでいる状態を指します。その原因は、まだ完全には明らかになっていません。それは約1000人のうち1人程度に見られる症状です。
この漏斗胸の状態では、胸がくぼんでいるために、肺が完全に広がる量(肺活量)が少し少なくなることもあります。しかし、これがお子さんの日常生活や運動に大きく影響を及ぼすことは少ないです。また、心臓の働きにも、大きな問題を引き起こすことはほとんどありません。ですから、もしお子さんが日々の生活を元気に過ごしているのであれば、すぐに治療をする必要はありません。成長に伴ってひどくなってくることもありますが、進行するかどうかは個人差があります。漏斗胸が原因で心臓や肺の働きが明らかに低下している場合、または、お子さんが見た目に対して大きな悩みを持ち、それが強いコンプレックスになっている場合は、治療が必要となることもあります。
もし治療について考える場合は、小学校に入学する前から相談を始めると良いでしょう。ただし、実際に手術が必要になるのは、お子さんがもう少し成長した後かもしれません。
X脚・O脚
「O脚」は、足首を揃えて立ってみると、お子さんの両膝が外側に向いて、膝の間に隙間ができる状態のことを指します。反対に、「X脚」は、膝を揃えて立ってみると、両膝が内側に近づいて、足首の間に隙間ができる状態のことを言います。
お子さんの足の形は、年齢によって自然と変わっていきます。生まれてから2歳くらいまでは、O脚っぽく見えるのが普通で、歩き始めると徐々に膝が閉じてきて、3歳頃からは少しX脚に見えることがあります。これは自然な変化で、左右の足が同じ形で、歩くのに困ったり、痛みを感じることはないはずです。そして、6~7歳頃になると、大人と同じような形になっていきます。
ただし、お子さんの膝や脚が左右で明らかに形が違ったり、歩くのが難しかったり、痛みを感じることがあったりする場合は、病院で診てもらうことをおすすめします。また、O脚の場合で足首を揃えて立った時に、膝の間に大人の指が3本以上入るような場合、または、X脚の場合で、膝を揃えて立った時に足首の間に大人の指が3本以上入るような場合も、相談しましょう。
発育性股関節形成不全
「発育性股関節形成不全」は、赤ちゃんの脚の付け根(股関節)がずれてしまう病気です。そのままにしていると、歩行にし支障が出ることがあります。赤ちゃんの股関節が健康的に成長するためには、抱き方やおむつのつけ方など、特に気をつけたいポイントがあります。
赤ちゃんの姿勢はとても大切です。特に、股関節を"M"の字の形に曲げている状態を保つことが、股関節の正常な発育を助けます。そのため、以下のことに気をつけてください。これらの工夫をすることで、赤ちゃんの股関節の健康な成長をサポートすることができます。
- おむつや洋服で足がきつく締め付けられないようにし、足が自由に動けるようにしましょう。
- 赤ちゃんを抱くときは、できるだけ正面から抱き、足が"M"の字になるように開けてあげましょう。
熱中症
熱中症とは、主に初夏から夏にかけて、体が暑さにうまく対応できず、体温が上がってしまう状態を指します。湿度の高い時期や、夏の暑い日は特に注意が必要です。また、子どもは体温調節が難しいため、大人よりも熱中症になりやすいです。 熱中症の具体的な症状には、めまい、顔色の悪さ、お腹の痛み、吐き気、こむら返り、体のだるさなどがあります。これらの症状が現れた場合は、すぐに涼しい場所に移動し、風を当てて、水分と塩分を補給することが大切です。 もしも、体に力が入らない、ぼーっとするなどの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。さらに、意識がなくなったり、痙攣が起こった場合は、命に関わる緊急事態ですので、直ちに救急車を呼んでください。 しかし、何より大切なのは熱中症の予防です。暑い日は帽子を被る、涼しい服装をする、水分と塩分をこまめに補給するなど、事前の対策をしっかりと行いましょう。