食物負荷試験

食物負荷試験について

食物負荷試験について食物アレルギーとは、食べ物が原因でじんましん、呼吸困難、腹痛などの症状が出る病気です。まれにアナフィラキシーと呼ばれる重篤な症状を引き起こすこともあります。正確な原因食品の診断に基づき、「必要最小限の除去」、つまり「食べられる程度を見極めて少しでも食べ続ける」のが基本です。当院では、アレルギー血液検査や皮膚プリックテストに加え、院内で日帰りで行う「経口食物負荷試験」も実施しています。
血液検査はあくまで参考値です。数値が低くても食べた時に危険なアナフィラキシーショックを引き起こすことがありますし、逆に数値が非常に高くても全く問題なく食べられることもあります。食物アレルギーの症状は軽いものから命の危険を伴うものまで様々です。
どの食品をどれだけ除去するか、そしてそれをいつまで続けるかは非常に難しい問題です。例えば、生の食べ物では症状が出るが、少量の加熱した食べ物なら問題ない方もいます。当院では「必要最小限の除去」と「食べられる程度を見極める」ことを大切にしています。自己判断せず、ぜひお気軽にご相談ください。

食物負荷試験の目的

食物アレルギーの治療においては、「正しい診断を行い、原因食物の除去を必要最小限にとどめる」ことが原則です。原因となる食物を全て除去するのではなく、早期から可能な限り少しずつ摂取し続けることが食物アレルギーの予後を改善することがわかっています。また、必要以上の除去は成長や発達、日常生活に悪影響を及ぼす可能性があるため、除去の判断は慎重に行う必要があります。
食物アレルギーは血液検査や皮膚テストが陽性でも必ず症状が出るとは限らず、陰性であっても稀に症状が出ることがあります。食物経口負荷試験は、実際にアレルギーが疑われる食物を食べて症状を観察する試験です。この試験の主な目的は次の2つです。

  1. 食物アレルギーの診断(除去を必要最小限にとどめるための確認)
    ・アレルギーの疑いがある食物を摂取し、症状が現れるか確認します。症状が出なければ、除去を解除したり、除去の程度を緩めることができます。
  2. 食物アレルギーが治癒したかの確認(耐性獲得)
    ・これまで除去していた食物を食べられるようになっているか、どれくらいの量を食べられるかを確認します。

食物負荷試験の方法

  1. あらかじめアレルギー外来(空をご予約ください)を受診し、検査予定日を決定します。
  2. 検査当日は9:00に来院し、医師の診察を受け、9:15~9:30頃に原因となる食品を摂取していただきます。
    ・当日はご自宅から該当食品をご持参ください。
  3. 摂取後2時間は経過観察し、お昼頃には検査が終了します。
  4. 検査中にアレルギー症状が現れた場合、気管支拡張薬の吸入、抗ヒスタミン薬の内服、点滴、注射など適切な処置を行い、症状が落ち着くまで慎重に経過観察します。
    ・かゆみや咳などの症状が現れた場合は、速やかにスタッフにお知らせください。

負荷試験後について

  • 陰性の場合:自宅での摂取を繰り返し、次回受診日に最終的な判定を行います。
  • 陽性の場合:負荷試験前の摂取状況を維持してください。

*負荷試験当日の激しい運動や長時間の入浴はアレルギー症状を誘発する可能性がありますのでご注意ください。

出現する可能性がある症状

  • 皮膚:紅斑(赤み)、かゆみ、じんましん
  • :かゆみ、赤み、まぶたの腫れ
  • 口の中や喉と鼻:喉の違和感、かゆみ、鼻水、くしゃみ
  • 呼吸器:咳、声のかすれ、息苦しさ、ゼーゼーする呼吸
  • 消化器:吐き気、腹痛、下痢
  • 全身:唇や爪の青白さ、脈の不規則、意識のもうろう

連携医療機関への紹介・入院について

次のような症状が現れた場合、連携医療機関への紹介や入院が必要です。

  • 広範囲のじんましんや紅斑
  • 重度の咳やヒューヒューする呼吸
  • 息苦しさ、声かれ、血圧低下が治まらない
  • 繰り返す腹痛、下痢、嘔吐
  • 医師の判断で必要とされる場合

当日の注意点

  1. 当日ご持参いただくもの
    ・負荷試験で摂取する食品(事前に調理・持参法をお伝えします)
    ・お気に入りのおもちゃや本(検査中の時間つぶしに)
    ・着替え(汚れてしまうことがあるため)
    ・症状が現れた時に備えて事前に処方された内服薬
  2. 検査当日は、9:00~9:15の間にご来院ください。9:30までに来院できない場合、試験をキャンセルさせていただくこともございますのでご了承ください。時間に間に合わない場合は当院までご連絡ください。
  3. 内服薬について
    ・負荷試験の結果に影響を及ぼす可能性のある内服薬は一定期間中止が必要です。事前にお知らせします。
    ・軟膏、吸入薬、点鼻薬、点眼薬などの外用薬は使用していただいて構いません。
  4. 費用について
    食物経口負荷試験は16歳未満のお子さんについて1年間に3回まで保険適応となっています。
    ・16歳未満(年内3回まで):自己負担なし
    ・16歳以上、16歳未満で4回目以降:5000円/回

よくある質問

検査の前に中止する薬は何ですか?

アレルギー疾患の治療に使用する抗アレルギー薬です。医療機関で処方されているもののほか、市販の感冒薬にも負荷試験に影響を与える成分(マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸ケトチフェン、塩酸ジフェンヒドラミンなど)が含まれています。これらの内服薬は負荷試験の3日前から使用を中止してください。

抗アレルギー薬とはどんな物ですか

  • 抗ヒスタミン薬・・・ザイザル、アレグラ、ゼスラン、ザジテン、アレロック、ジルテック、アレジオン、エバステル、ルパフィン、クラリチン、ディレグラなど
  • 抗アレルギー薬・・・オノン、キプレス、シングレア、リザベン、アイピーディなど

吸入薬、軟膏、点眼、点鼻薬は使っていてもいいですか?

使用可能です。

抗アレルギー薬はいつから中止するとよいですか?

経口負荷試験の3日前から中止をしてください。
例 8月13日に負荷試験の場合は8月10日から内服を止めてください

咳と鼻水がありますが、検査はできますか?

負荷試験の前に医師が最終判断を行います。当日に熱などの症状がなければ、負荷試験の準備をして来院してください。

経口負荷試験中は、普段食べているおやつなど食べてもいいですか?

経口負荷試験中は、評価対象の食べ物以外は避けてください。おやつなどを食べると、症状が出現した際に原因が特定できなくなってしまいます。味付けに使用する調味料についても、安全に摂取できることが確認されているものに限ります。

複数の食品を一度に検査できますか?

即時型反応が出現した場合、どの食品によるアレルギー反応かがわからなくなってしまうため、評価する食品は1品目ずつ行います。

負荷試験でアレルギー症状が出なかった場合は、試験後すぐに摂取しても良いでしょうか?

負荷試験で摂取した量を継続的に摂取してください。次回の来院時までに数回摂取して異常が見られなかった場合、検査結果を陰性とし、それ以降もその量を上限として食べることができます。食物負荷試験の結果を踏まえて担当医師より指導がありますので、その指導に従ってください。

経口負荷試験で摂取できた食品は、給食ですぐに食べられるようになりますか?

しばらくの間、給食で食べる一食分に相当する量を家で食べてもらいます。運動や体調不良(感染症や生理)によって症状が出現する場合があるため、日常生活の中で想定されるさまざまなイベントが重なっても症状が出ないことの確認が必要です。

負荷試験で摂取できると分かった食品を、学校や幼稚園の給食で摂取させても大丈夫ですか?

保育園、幼稚園や学校での給食は、誤配膳・誤食の事故を防止するために「完全除去」あるいは「摂取可能」のどちらかにすることが基本です。そのため、集団給食での通常の提供を確認し、同じ量を症状なく摂取することができることを目標とします。目標が達成されたことを確認した後、集団生活での食物除去解除となります。
自宅で親御さんの目の届く範囲で、クリニックでの負荷試験で症状なく摂取できた分量までの摂取であれば問題ありません。ただし、体調不良の時や食後の運動などでアレルギー症状が出ることがありますので、よく注意して判断してください。

負荷試験の前後のスケジュールで予防接種をさせても大丈夫ですか?

負荷試験当日でなければ大丈夫です。ただし、検査当日の予防接種は避けてください。現れた症状がアレルギー反応なのか、接種の副反応なのか判断が難しくなるためです。

負荷試験で摂取する食品は、病院で準備お願いできますか?

検査で摂取する食品は、ご家族で準備していただいております。調理方法や量などは事前にご説明しますので、それに従って準備をお願いいたします。

標榜科目 小児科・アレルギー科
TEL 042-686-3447
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