春の感染症にご注意を
4月に入り新年度に向けて準備をされている保護者の方も多いのではないでしょうか?春は冬に比べて感染症のイメージが少ないですが、子どもたちが集団で生活をしている学校や幼稚園・保育園は季節を問わず感染症が流行しやすい環境にあります。特に春から入園・入学を控えているお子さんはこれまでとの環境の変化が大きくお友達から菌をもらいやすいので注意が必要です。そこで今回は春に意外と流行している感染症についてお伝えします。
・溶連菌感染症
・水ぼうそう
・おたふく風邪
・ヒトメタニューモウイルス感染症
■溶連菌感染症
溶連菌感染症は、溶連菌という細菌に感染することで発症します。「いちご舌」と呼ばれる舌にイチゴのようなぶつぶつができる症状が特徴的で、急な高熱や喉の痛み、腫れがでます。感染力が強く、咳やくしゃみなどの飛沫を吸い込むことで感染する飛沫感染と、菌がついた手で触ったおもちゃなどを介して感染する接触感染で感染します。こまめな手洗いやマスクの着用、よく触る場所の定期的な消毒などで予防するようにしましょう。
■水ぼうそう
水ぼうそうは、水痘・帯状疱疹ウイルスによって発症します。水ぶくれを伴う赤い発疹が全身に出て、かゆみを伴います。水ぼうそうは感染力が非常に強い病気で、空気感染でも感染が広がるため、感染者と同じ室内にいるだけでも感染してしまう可能性があります。予防策としてはワクチンの接種が効果的です。定期接種として2回の接種が推奨されており、当院でも予防接種を受けることができます。
■おたふく風邪
おたふく風邪は、ムンプスウイルスというウイルスの感染によって発症します。感染すると耳の下(耳下腺)やあごの下(顎下腺)が腫れて、発熱や頭痛などの風邪症状がでることがあります。おたふく風邪の代表的な症状である「耳下腺の腫れ」が現れる数日前からウイルスの排出が始まるため、症状が出る前に周囲に広がってしまうという特徴があり、保育園や幼稚園で感染が広がりやすい傾向にあります。予防策としてはこまめな手洗いやマスクの着用など、風邪を予防する際の基本的な感染症対策が大切です。おたふく風邪に有効な治療薬は見つかっておらず、予防方法としてはワクチンの予防接種があります。任意接種のため、接種するかは自己判断ですが、1歳から接種が可能です。幼稚園・保育園など集団生活が始まる前に接種しておくことで、おたふく風邪に感染する可能性を75~91%も減らすことができるといわれています。ご希望の方は予防接種をご予約ください。
■ヒトメタニューモウイルス感染症
ヒトメタニューモウイルスは、10歳までにおよそ全員が感染するといわれています。感染すると発熱や咳など風邪のような症状があらわれ、悪化すると気管支炎や肺炎を引き起こす場合もあります。ヒトメタニューモウイルスには現在のところ有効なワクチンがなく、何度も感染する可能性があります。こまめな手洗いやうがい、マスクの着用など基本的な感染症対策が大切です。
新学期や入学・入園の季節はお子さんの身体にも負担がかかり、普段以上に風邪をひきやすかったり菌をもらいやすくなったりしますので、少しでも不安な場合はお気軽に受診ください。