小学校入学前に接種しておきたいワクチン
お子さんにとって小学校は本格的な集団生活の始まりです。幼稚園や保育園に比べ、小学校に入ると広く社会に接することとなります。このため、感染症にさらされる機会も多くなり、リスクも高まりますので、入学前にワクチンの接種忘れがないかを確認しておくことをおすすめいたします。
日本小児科学会では、下記の4つワクチンの接種が年長さんには推奨されています。
・麻しん・風しん(MR)ワクチン(定期接種)
・おたふくかぜワクチン(任意接種)
・3種混合(DPT)ワクチン(任意接種)
・不活化ポリオワクチン(任意接種)
■麻しん・風しん(MR)ワクチン
MRワクチンは麻しん・風しんを予防するワクチンです。通常1回目を1歳に、小学校入学前に2回目をもう1度打つ、定期接種のワクチンです。接種期間が決まっており小学校入学までに接種しないと自費での扱いとなり、1回目からかなり期間が空いてしまうことと小学校入学前のバタバタもあり忘れがちなので注意しましょう。麻しん・風しん(MR)ワクチンは小学校入学前までに接種しないと自己負担金が発生しますので、まだ接種がお済でないお子さんは余裕を持って接種するようにしましょう。
■おたふくかぜワクチン
おたふくかぜワクチンは、1回目を1歳で接種し就学前に2回目の接種が推奨されているワクチンです。おたふくかぜにかかってしまうと、頬の痛みや腫れ、高熱などの症状が出たり、髄膜炎、精巣炎、膵炎や難聴など多くの合併症もあるため接種をおすすめします。
おたふくかぜはワクチンにより高い確率で予防することができ、日本では定期接種に含まれないため任意接種扱いとなり自己負担金が発生してしまいますが、その効果は世界中で認められています。
【八王子市にお住いの方へ】
八王子市にお住いの方(住民登録がある方)においては、おたふくかぜワクチンは八王子市から全額助成がでるため、自己負担金なし(無料)で接種することができます。
■3種混合(DPT)ワクチン・不活化ポリオワクチン
3種混合ワクチンとはジフテリア、百日咳、破傷風に対するワクチンです。これにポリオを加えた4種混合(DPT-IPV)ワクチンが現在定期接種の対象となっています。
百日咳の予防のために年長のお子さんには3種混合ワクチンの接種がすすめられています。すでに4種混合ワクチンを打っているため必要ないのでは?と思われるかもしれませんが、百日咳は赤ちゃんから大人まで誰でも感染する可能性がある疾患です。
百日咳についてはワクチンで得た免疫が4種混合ワクチンを4回接種済でも就学前の時期には少なくなってしまうため、5歳頃から百日咳に感染するお子さんが増えております。
4種混合ワクチンの5回目の接種はできませんが、3種混合ワクチンを就学前の時期に接種しておくことで、百日咳にかかった場合でも重症化を防ぐことができるため接種をおすすめします。
また不活化ポリオワクチンについては、日本では0歳と1歳の計4回の接種で完了とされていますが、百日咳と同じくポリオについても、4回の接種を行っていても5歳頃から抗体価が低下してくるため、就学前のポリオワクチンの接種もおすすめしています。
世界的には5歳以上で1回接種することが必要と言われており、WHOでも5回接種が推奨されています。
当院でも定期接種のMRワクチンや4種混合ワクチンはもちろん、今回ご紹介しましたおたふくかぜワクチン、3種混合ワクチン、不活化ポリオワクチンも接種可能ですのでご相談ください。